
KONBUKURO<コンブクロ>を作りながら、思うこと。
ヨブスの端切れ18枚のパッチを繋ぎ合わせる、
コンブクロ。当店らしいヨブス布の使い方だとも
思います。模様と色の組合わせ方によっては、
私の先入観を覆うような意外な相性を新発見したり。
20年以上、ヨブスの布に触れているというのに、
今だに驚かされます。
こうした魂の入った手しごとの布だから、最後の
小さな端切れまで活かすのが、私の使命とも思います。
ヨブス工房では、朝8時前から夕方17時くらいまで
2反(30mを二巻き)を染める作業の様子を見ていると
小さな1ピースの集まりが、ヨブスの植物柄の世界を
構成しているのがよくわかります。
30mに及ぶ作業台の上の真っ新な布の上を、
スクリ―ン型紙から、スキージーで染料を流し込んで
ゆく。シュッと心地よい音が工房に響く。
2人一組になった職人さんたちの動作は無駄がなく、
何往復も繰り返され、少しづつ、模様の形が現れてくる。
デジタルの技術では、模様の模倣は瞬時に
やってのけるでしょう。
でもプリントの模様からは、胸がグッ!と掴まれるような。
思わず、息を止めてしまようような。そんなふうに心を
動かされることは、たやすくはないでしょう。
モノが安くなったのは、ものづくりに関わる費用を
技術力で抑えて、大量に生産ができるようになったからで、
それは企業努力です。
でも、その効率重視の姿勢が、私たちを取り巻く環境に
負荷を掛けていることも事実です。
風の時代を生きる私たち。
何を選び取り、何を伝えましょうか。
バトンを繋ぐ、次の世代に遺してゆけるものは、
美しいものでありたいです。